カメラのキタムラの写真教室を、横から眺めていた栗林公園の午前中。
妻がカメラのキタムラで新しいカメラを買ったとき、レジ横のチラシに写真教室の案内が出ていた。その場の流れで申し込んで、数日後、ぼくらは栗林公園の門をくぐっていた。
主役はあくまで妻。ぼくは荷物持ちで、ただの付き添い。カメラの知識もゼロだから、「今日は栗林公園をゆっくり散歩する日」と思うことにした。
集合場所には、立派なカメラをさげた人たちがぽつぽつ集まってくる。年齢層は少し高めで、なんとなく落ち着いた雰囲気だ。ぼくはその輪の外側を、半歩さがって歩くポジションに落ち着いた。
講師の先生は、やわらかい雰囲気の女性だった。専門用語がずらっと並ぶ感じではなくて、「空の青色を写さなければ、葉っぱの緑色が映えますよ~」とか、「もう少しF値を絞ってみて下さい~」みたいな、やさしい声がところどころ風にまざって聞こえてくる。
ただ、正直に言うと、そのテクニックの中身まではあまり頭に入っていない。ぼくは妻の少しうしろを歩きながら、鯉の泳ぐ池や、紅葉の島、橋の上を行き交う人たちを、いつものスマホでぱしゃぱしゃ撮っていた。
同じ栗林公園なのに、「写真教室のみなさん」と一緒に歩いていると、どこか舞台袖から眺めているような気分になる。紅葉の木も、細い橋も、今日は少しだけよそ行きの顔をしている。
2時間ほどで写真教室はおひらきになり、妻の一眼レフのデータを見せてもらった。紅葉の島の横を進む舟や、静かな水面に映り込んだ木のかたち。同じ場所で、同じ時間に撮ったはずなのに、画面の中の栗林公園が、すこししゃんとして見えた。
「ああ、これが“ちゃんと狙って撮った一枚”なんだな」と、カメラ素人なりに、ちょっとだけうなずく。付き添いで来たつもりが、いつも見ている公園の別の顔を、少しだけ分けてもらったような気がした。
ひとしきり歩いてお腹も空いてきたところで、前回も寄った園内の吹上亭へ向かった。たこの乗った栗林うどんと、いなり寿司。湯気の向こうで、妻は楽しそうに今日の写真の話をしている。ぼくはただ、「付き添いの散歩も悪くないな」と思いながら、出汁の味をゆっくり確かめていた。
そんな栗林公園の午前中だった。
きょうの栗林公園、フォトエッセイ。
ここから先は、写真だけで振り返る栗林公園です。最初の12枚は、ぼくがスマホで撮ったスナップ。最後の2枚は、妻の一眼レフで撮った写真たちです。
【ぼくがスマホで撮った写真】
付き添いの立場で、歩きながら気になった景色をぽつぽつ撮ったもの。
今日は“写真の日ですよ”という顔をした門をくぐる。
それぞれの“今日の一枚”を探しながら、同じ方向へ歩いていく。
紅葉の木の下には、静かな水と、ゆっくり流れる時間がいた。
橋の上では人が行き交って、水の下では鯉たちがいつもの速度で泳いでいる。
写真教室じゃなくても、ここは何度でもシャッターを押したくなる場所だと思う。
エンジンの音がしない分だけ、庭の静けさがよく聞こえる。
パンフレットの中の景色を、自分のスマホでのぞき込んでいる不思議。
足もとは石。すぐ横では、水と光が勝手に遊んでいる。
庭と山が、そのまま一枚の絵みたいにつながっている場所。
紅葉が、まるごと一島ぶん、主役をしている。
舟に乗ると、いろんな人のカメラが、そっとこっちをのぞきにくるんだなぁ。
写真教室のあとの栗林うどんは、だしの味までピントが合っている気がした。【妻の一眼レフで撮った写真】
同じ栗林公園なのに、レンズが変わると、少しだけしゃんとした表情になる。
紅葉の島の手前を、そっと通り過ぎていく舟。
庭のかたちと、舟のかたちが、同じ方向を向いている。📷
「付き添いで歩いた午前中が、
いちばん気に入った一枚になりました。」
🌰 なんとなく栗林公園のものを。
こんなのもあってね。うん、あるんです。
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