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Contents
👹 鬼ヶ島大洞窟の入口で
洞窟の手前に立つと、まず目に入るのがこの案内図だ。
薄い青の背景に、鬼瓦のマークがいくつも描かれている。
それぞれの表情が、なんとなく違う。
笑っているのもいれば、ちょっとすねているのもいる。
地図には「鬼大将の部屋」「鬼の力水」「監禁室」など、
少し物騒な名前が並んでいて、思わず身構える。
けれど、不思議と怖さはない。
むしろ、修学旅行のしおりを開くときみたいな、
小さなワクワクが胸の奥で灯る。
雨あがりの風が、看板の隙間をすり抜けていく。
その音がまるで、“ここから物語がはじまります”と
囁いているみたいだった。
入口に掲げられた「鬼ヶ島大洞窟 案内図」。鬼瓦の表情がずらりと並び、どこか親しみのあるデザインだ。
ここから、鬼たちの世界がはじまる。
👹 青鬼の待つ入口
洞窟の入口に立つと、ひんやりとした空気が頬をなでた。
岩の口にはしめ縄がかかり、まるで神社のような厳かさがある。
その横に、青鬼が立っていた。
怒っているわけでも、笑っているわけでもない。
その顔には、長いあいだここを見守ってきた者の落ち着きがあった。
山の上まで登ってきたはずなのに、
この瞬間だけは“下りていく”ような感覚になる。
ここから先は、地図にも時間にも載らない場所――
もちろん、グーグルマップにも。
そんな気がして、思わず息をのんだ。
鬼ヶ島大洞窟の入口。しめ縄のかかった岩の口で、青鬼が静かに見張りをしていた。
雨上がりの苔が光って、まるで息づいているようだった。
👹 低い天井の通路を進む
一歩、足を踏み入れた瞬間、
外の音がすっと消えた。
岩の天井は低く、自然と身をかがめる。
頭をぶつけないように歩くその姿勢が、
いつのまにか“誰かに会いに行く”仕草のようになる。
湿った石の匂い、足もとでこだまする小さな足音。
照明のあかりが、前を行く人の背中を
かすかに照らしている。
光と影が混ざり合うたび、
この洞窟の“心臓”が静かに鼓動しているように感じた。
……と思った矢先、
撮影に夢中だった妻が、
軽く天井に頭をぶつけた。
小さな音だったけれど、
その瞬間だけ、洞窟の空気が少し笑った気がした。
洞窟に入ってすぐの通路。天井が低く、思わず身をかがめて歩く。
ひんやりした空気が、背中をなでて通り抜けていった。
👹 鬼たちの笑う部屋
少し歩くと、空気がやわらかくなった。
壁ぎわに、鬼の顔がずらりと並んでいる。
怒っているような顔、笑っているような顔、
そして、どう見ても眠たそうな顔もあった。
これは「オニノコ瓦」という、瀬戸内国際芸術祭のときの作品らしい。
香川県の中学生たちが作った鬼の瓦を、こうして洞窟に飾っているのだという。
怖いよりも、どこか微笑ましい。
まるで鬼たちの家族写真を見ているみたいだった。
岩肌に落ちる光が、瓦の頬をそっとなでていく。
そのひとつひとつに、
“子どもたちの手のぬくもり”が、
今も静かに残っている気がした。
洞窟の中の岩場に並ぶ、たくさんの鬼瓦たち。一つひとつ表情がちがって、まるで鬼たちの“家族写真”のよう。
笑っているのもいれば、すねているのもいる。
洞窟の奥に立つ赤鬼と、足もとに広がる無数の鬼瓦。「オニノコ瓦プロジェクト」で生まれた、小さな鬼たちの集会所。
光の届かない場所で、彼らは静かに笑っていた。
👹 鬼大将の会議(という名の酒盛り)
奥へ進むと、「鬼大将の会議」と書かれた札があった。
会議、とあるけれど、どう見ても宴の最中だ。
真ん中の鬼大将を囲んで、赤鬼と青鬼が並んでいる。
笑っているのかどうかは分からない。
けれど、どこか楽しそうな空気が流れていた。
盃のようなものを手にして、何か語り合っているようにも見える。
その足もとには、お賽銭がいくつか置かれていた。
その反射が、まるで盃の底をきらりと光らせているようだった。
その光が、昔の人と鬼のあいだを
そっと結んでいるようにも思えた。
洞窟の奥、「鬼大将の会議」。真ん中の大将を囲んで、赤鬼と青鬼が酒盛り中。
恐ろしいよりも、ちょっと楽しそうで――この島の鬼たちは、案外“平和主義”かもしれない。
👹 闇の奥の“ひとり”
さらに奥へ進むと、
「監禁室」と書かれた札がぶら下がっていた。
その言葉の響きに、思わず背筋がのびる。
薄暗い部屋の前に、鬼が座っている。
棍棒を握りしめ、こちらをじっと見張っていた。
けれど、その目は“怒り”よりも“ためらい”に近かった。
そして、鉄格子の奥に――“ひとりの人”がいた。
光の届かない場所で、静かにこちらを見つめている。
鬼よりも、この人にびっくりした。
見つめられているのは、たぶん、こっちのほうだった。
しばらく息をするのを忘れて、
ただ、見られていた。
鬼ヶ島大洞窟の最奥部にある「監禁室」。棍棒を手にした鬼が、闇の中で何かを見張っている。
鉄格子の向こうに、“ひとりの人”。闇の中で、こちらを見つめていた。👹 鬼の力水と祈りの場
闇に慣れた目の奥で、
ふいに小さな光が揺れた。
近づいてみると、「鬼の力水」と書かれた札が見えた。
天井から滴り落ちる水を、
鬼たちは“力の源”として大切にしてきたのだろう。
ただ、そこに立って見つめているだけで、
空気がすこし澄んでいくような気がした。
青鬼がそばに立っている。
まるで、この水を何百年も見守ってきた番人のようだ。
“力水”という名前だけれど、
そこにあるのは力よりも静けさ。
さらに進むと、「佛間」という小さな祈りの場があらわれた。
花束、香炉、そして古びたお賽銭箱。
ここでは、鬼も人も、
同じ静けさのなかにいる気がした。
天井から滴り落ちるという「鬼の力水」。長いあいだ枯れたことのない不思議な湧き水。
青鬼は、その流れを見守る番人のようだった。
洞窟の奥にひっそりと祀られた「佛間」。岩の闇に灯りがひとつ。花の色だけがやさしく浮かぶ。
鬼たちも、この場所では静かに手を合わせている気がした。
👹 鬼大将の部屋
「鬼大将の部屋」と書かれた札の前で、足を止めた。
入口はけっこう狭い。
狭い通路をくぐると、空気がふっと広がった。
その中央に、鬼大将がどっしりと座っている。
両脇には、赤鬼と青鬼。
この洞窟の主たちが、静かにそろっていた。
どうやって、あの巨体の鬼大将が、
あの狭い入口を出入りしていたのだろう。
思わず、そんなことを考えてしまう。
「鬼大将の部屋」とは名ばかりで、
ここはまるで玉座の間だ。
岩肌に反射する赤と青の光が、
まるで呼吸しているように揺れている。
怖いというより、どこか誇らしげだった。
長いあいだ、人に語られ、
ときに恐れられてきた“鬼”という存在が、
いまも変わらず、ここで息をしている。
しばらく見上げていると、
鬼大将の目がこちらを見た気がした。
その視線はまっすぐで、
それでいて、「もう怒ってはいない」と言っているようだった。
洞窟の最奥、「鬼大将の部屋」。巨大な鬼大将が座し、両脇に赤鬼と青鬼。
恐ろしいというより、まるで古い王国の会議のようだった。
鬼大将の部屋の入口は、意外と狭い。どうやってあの巨大な鬼大将の像を入れたんだろう……。(ボソッ)
👹 桃太郎と鬼、そして仲直り
鬼大将の部屋を抜けると、
「日本一」の旗が見えてきた。
その前で、桃太郎と鬼が並んでいる。
どう見ても戦いのあと、というより“記念撮影”のあとのようだ。
鬼たちはすっかり笑顔で、
桃太郎も少し照れくさそうに立っている。
どちらが勝ったとか、負けたとか、
もうそんな話ではない。
よく見ると、桃太郎は黒いスパッツを履いていた。
ユニクロのだろうか?
鎧ではなく、なんだか運動会の衣装みたいで、
それがかえって親しみを感じさせた。
次の部屋では、鬼と桃太郎がしっかり握手をしていた。
光が差し込んで、その手のあいだから
小さな埃がきらきらと舞っている。
「もう争いは終わりだ」
そう言っているような空気だった。
昔話の終わりではなく、
そこからはじまる“あとの日々”が、
この島にはちゃんとある。
洞窟の出口ちかくで出会った、桃太郎と鬼たち。どう見ても、戦いのあとというより“記念撮影”の雰囲気。
もう仲直りしたんだね、たぶん。
洞窟の出口近くで、桃太郎と鬼がしっかりと握手。「もう争いは終わりだ」と言わんばかりに、二人の間に光が差しこんでいた。
戦いのあとに残ったのは、ただの“にんげんとおに”の笑顔だった。
👹 外の光へ
しばらく歩くと、前方に光が見えてきた。
外の風の匂いが混ざって、空気がやわらかくなる。
洞窟の中の音が、すこしずつ遠ざかっていく。
振り返ると、まだ鬼や桃太郎の姿が見えた。
薄明かりの中で、彼らは静かにこちらを見送っているようだった。
あの目の奥にあった優しさが、
出口の光といっしょに、そっと滲んでいく。
外に出ると、雨上がりの空が明るい。
時間にすれば15分ほど。
けれど、もっと長い夢を見ていたような気分になる。
光を浴びた鬼たちの顔が、
心の中でそっと笑った。
つづく。
所要時間は15分ほど。けれど、暗がりと静けさのせいで、
もっと長い時間、異世界にいたような気がする。
光が見えた瞬間、ふっと息をついた。
👹 よくある質問(FAQ)
全体をゆっくり見ても15〜20分ほどです。途中に展示やアート作品もあるため、写真を撮りながら進むともう少しかかるかもしれません。
照明は設置されていますが、場所によっては薄暗いところもあります。足元に注意しながら進むと安心です。
はい。屋内施設なので雨の日でも楽しめます。ただし、足元が濡れていることがあるため、滑りにくい靴がおすすめです。
はい、可能です。展示の多くは撮影OKですが、他の見学者への配慮を忘れずに。
👹 なんとなく鬼ヶ島のものを。
👹 こんなのもあってね。うん、あるんです。
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