伯方の塩まんじゅうの箱のうしろに、もうひとつの贈りもの
お義母さんからのお土産、伯方の塩まんじゅうの箱とともに、渡された小さな袋。
中には、太鼓のバチを思わせる、カラフルな手づくりストラップが入っていた。
妻が少しだけ笑った理由
「演奏中に折れてしまったバチを、こうして再生したんだって」
そう言って、お義母さんの娘さん――つまり妻は、少しだけ笑った。
説明するでもなく、押しつけるでもなく。
ただ、そのストラップを“受け取ってみて”と、そっと促すような笑顔だった。
愛媛県の和太鼓集団「心参太鼓」。
その演奏者一人一人の手によってつくられたという、ハンドメイドの作品。
太鼓の音が鳴りやむそのあとも、手の中にのこる“思い”みたいなものが、編み込まれていた。

もう音は鳴らないけれど、なんだか、耳の奥で“ぽん”と鳴った気がした。
焼き印と、記憶のかけらたち
よく見ると、小さなバチには「道後」の焼き印が押されていた。
それだけで、あの温泉街の湯気や石畳の風景が、静かに立ちのぼってくる。
「たしか、このストラップの売り上げの一部が、なんか…誰かのためになるらしいよ」
妻はそんなふうに言いながら、お義母さんから聞いたことを思い出そうと、記憶をたどっていた。
うろ覚えだけど、たぶん“いいこと”だったはず、という自信のなさが、なんだかちょっとおかしかった。
このストラップには、音がない。けれど、なにかが静かに響いている。
折れたものを、ただ“直す”だけじゃない。
新しい意味を、そっと吹き込んで。
手のひらに乗せたとき、音はしないのに、なにかが確かに“鳴った”。
「演奏を観たときの思い出を、そっと開いてもらえたら――」
そんな想いが、静かに添えられていた。
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