怒ったことのない猫が「シャー！」と言った日｜アビシニアンとペットホテルの数日間
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Contents
怒ったアビ蔵と、つるつるの帰宅
旅のあいだ、アビ蔵を動物病院のペットホテルに預けた。
安心できる場所を選んだ、つもりだった。
それでも、キャリーを抱えた手は、すこしだけ重かった。
行くのは、ぼくじゃない。
はじめて見た「シャー！」
利用前に、爪切りとノミ・ダニの薬。
動物看護師さんに頼まれて、ぼくも手伝うことになった。
キャリーから出して、
白衣の人の手が、そっと触れた瞬間――
「シャー！」
あのアビ蔵が。
家では、生まれてこのかた、怒ったことのない猫が。
正直、ちょっと怖かった。
あんな顔、はじめて見た。
でも、引っかかない。噛まない。
ただ、精一杯の声で、境界線を引いただけ。
ぼくが体を支えると、
すぐに「ゴロゴロゴロ……」。
それは、
うれしさというより、
自分を落ち着かせるための音だった。
置いていく、ということ
そのまま、預けてきた。
心配は、消えないまま。
猫は旅に出ない。
人が出かけるとき、
猫は、どこかで待つ。
今回は、家じゃなくて、
動物病院の、知らない部屋。
初日は怒って、次の日は肩の上
高松へ戻り、アビ蔵を迎えに行ったとき、
動物看護師さんが教えてくれた。
「初日は、ずっと怒ってたんですけど……
次の日からは、肩にのって、
毛づくろいしてくれるんですー」
あぁ、
あいつなりに、ちゃんとやってたんだな。
知らない場所で、
知らない人と、
折り合いをつける。
猫にも、そういう力がある。
触った瞬間、分かったこと
家に連れて帰って、
アビ蔵を撫でたとき、
すぐに気づいた。
――毛並みが、妙につるつる。
触り心地、最高。
「こっそりシャンプーしてくれたんかな？」
と、冗談半分で言うと、
妻が、さらっと言った。
「雑味が抜けたんちゃう？
おやつ、もらえんかったから」
なるほど。
決まった時間のごはん。
余計なおやつなし。
緊張して、
怒って、
甘えて、
ちゃんと眠って。
合宿みたいな、数日間。
留守番は終わった。それ以上のことは、
猫は言わない。
雑味のない手触り
たぶん、あのつるつるは、
無事に帰ってきた証拠だ。
怒る顔も、
ゴロゴロも、
肩の上の毛づくろいも、
ぜんぶ経由して、
最後に残った手触り。
猫は説明しない。
でも、触ると、
分かることを残してくれる。
今回の旅で、
アビ蔵は、
すこしだけ整って帰ってきた。
それで、十分。
人が思うほど、大ごとではない。
✍
置いていった数日も、
ちゃんと、生きてきた。
その感じが、
毛並みに出るのが、
なんだか、いい。
よくある質問（Q&A）
あります。猫は環境の変化にとても敏感な動物です。知らない場所やにおい、人の気配に戸惑い、怒ったような反応を見せることがあります。多くの場合、それは攻撃性ではなく、不安や緊張の表れです。
アビシニアンは感受性が高く、変化に気づきやすい傾向があります。その一方で順応性も高く、安心できる相手や時間があれば、少しずつ落ち着いていく猫も多いです。
帰宅後は無理に構わず、いつもの生活リズムに静かに戻すのがおすすめです。食欲や排泄、様子に大きな変化がなければ、多くの場合は数日で普段通りに戻ります。
こういうの、持ってると案外いいんです。
🐈 なんとなくアビシニアンのものを。
こんなのもあってね。うん、あるんです。
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