Contents
- 1 【福島→東京】予定通りにいかない日も、旅になる|立ち食いそばと帰宅ラッシュ
- 2 【東北新幹線】窓際の指定席に知らない人が…でも、これも旅の味
- 3 【東京駅】夜の駅舎と、すこし緊張した都会の空気
- 4 【サンライズ瀬戸 乗車体験】東京から夜行列車に乗るということ
- 5 【個室で過ごす夜】サンライズ瀬戸ソロの“静かな自由”
- 6 【寝間着あるけど誰も着てない問題】サンライズ瀬戸の“幻の制服”?
- 7 【早朝5時の目覚め】列車の朝、アンパンとコーヒーと静けさ
- 8 【瀬戸大橋を渡る】靄がかった瀬戸内と、幻想的な朝の景色
- 9 【高松駅に到着】寝台列車で四国へ|朝の空気がやさしかった
- 10 【ただいま、という景色】玄関の音に、アビ蔵が走ってきた。
- 11 Q&A
【福島→東京】予定通りにいかない日も、旅になる|立ち食いそばと帰宅ラッシュ
今回は、仕事で人に会う用事がふたつあった。
打ち合わせというより、“ちゃんと顔を合わせること”のほうが大事な気がしていた。
そんな一日を終えて、夕方。
ちょっとだけ、淋しいような気持ちを抱えて、阿武隈急行線に乗り込む。
列車は、少しだけ混んでいた。
帰宅ラッシュってほどじゃないけれど、それなりに人はいた。
仕事帰りの会社員、部活帰りの学生、年季の入った通学バッグ。
みんなの日常が乗っている電車に、自分だけが“非日常”の空気をまとって乗っている気がした。
福島駅で新幹線に乗り換える前、
「そうだ、あそこの立ち食いそば、食べていこう!」と決めていた。
だけど──店の前に着いたのは18時ちょうど。
シャッターがガラガラと閉まる音。
……早すぎないかい?
でもまあ、そういうのも含めて、旅だと思う。
思い通りにいかないことがあるからこそ、
あとで思い出したとき、じんわり心に残る。
さぁ、福島から東京へ。なんでもないようで、ちょっとだけ気持ちが動く瞬間。
行く先が決まっているのに、なぜか旅っぽい。
【東北新幹線】窓際の指定席に知らない人が…でも、これも旅の味
さて、新幹線に乗り込む。
あらかじめ予約していた窓際の席を目指して歩く。
よし、ここだ──と思ったら、
あれ? 誰か、座ってる。
ぼく「あっ」
女性「あっ」
──ふたり同時に声が出た。
知らない女性は、少し照れたような顔で「すみません」と言って、
いそいそと席を立ってくれた。
うん、大丈夫。こっちも何も怒ってないし、むしろ、ちょっとおもしろい。
だけど、さっきの立ち食いそばの件といい、
この“指定席にすでに人がいる”件といい、
なんだか今日は、旅の始まりにしては少しつまづいてるような気がした。
でもまあ、いい。
旅っていうのは、こういう引っかかりがあるから、あとでじんわり記憶に残るんだ。
そういうことにしておこう。
【東京駅】夜の駅舎と、すこし緊張した都会の空気
なんというか、さすが東京。
空気が、違う。
エネルギーの密度が、ひと駅ごとに変わっていく感じがする。
あたりまえのように光っている高層ビル。
誰かの終電であり、誰かの始発でもある駅。
ぼくは、その“どちらでもない時間”を歩いている。
サンライズ瀬戸まで少し時間があるから、改札を出て外に出る。
ライトアップされた東京駅の駅舎。
どっしりと、でもどこか優しく、夜の街を見守っていた。
その横で、パトカーが止まり、警察官が数人。
外国人カップルらしきふたりと、なにやら静かに言葉を交わしている。
何があったのかは、わからない。
でも東京の夜には、こういう小さな“気配”がいくつもある。
そのひとつひとつが、この街の体温みたいなものかもしれない。
夜の東京駅は、ちゃんと歴史を背負って立ってる感じがする。誰かがつくった光じゃなくて、時間がつくった光。
東京駅の天井は、見上げる人の“時間”を止める。誰もがつい足を止めて、しばらく黙ってしまう天井。
【サンライズ瀬戸 乗車体験】東京から夜行列車に乗るということ
東京駅のホーム。
いよいよ、サンライズ瀬戸に乗り込む時間だ。
何度乗っても、ちょっとした特別感があるこの列車。
今回も、ソロ個室を予約しておいた。
せっかくの夜行列車。ひとりの空間で、ゆっくり揺られたくて。
乗ってすぐ、靴を脱いで、ゴロンと横になる。
あぁ……これはこれで、すごくいい。
窓の外を見れば、まだ帰宅ラッシュの人たちが歩いている。
仕事帰りのスーツ姿の人が、足早にホームを移動している。
その光景を見ながら、先にくつろいでしまっている自分が、
なんだか申し訳ないような、ちょっとだけ得したような、
そんな気持ちで、発車の時を迎える。
静かに動き出す列車。
ガタンという揺れとともに、東京の夜が、少しずつ遠ざかっていく。
光ににじんだ「高松」の文字。くっきりじゃないけど、ちゃんとそこにあった。
【個室で過ごす夜】サンライズ瀬戸ソロの“静かな自由”
ぼくは、ソロ個室で横になっていた。
ほんのり明かりを落として、本を読んだり、窓の外の夜景をただ眺めたり。
東京の光が、少しずつ、遠ざかっていく。
でも、まだひとつ“イベント”が残っていた。
それが終われば、いよいよ本当の自由時間。
──コンコン。
静かなノックの音。
来た。車掌さんのきっぷチェックだ。
ドアを開けて、2枚のきっぷを手渡す。
乗車券が1枚。
特急券と寝台券がセットになったものが1枚。
車掌さんは慣れた手つきで確認して、
「ありがとうございましたー」と、きちんとした声で言ってくれた。
それだけ。だけど、それで十分だった。
必要なやり取りだけが、短く、丁寧に交わされる。
それが、この列車の“ふつう”なんだと思う。
ドアが閉まり、またひとりの静けさが戻ってくる。
ようやく、完全にぼくの時間。
旅の夜が、深く、ゆっくりと流れていく。
サンライズ瀬戸のソロ個室は、ちいさな宇宙船みたいだ。誰にも気をつかわず、ただ“自分だけの時間”が流れていく。
【寝間着あるけど誰も着てない問題】サンライズ瀬戸の“幻の制服”?
ソロ個室のベッドの上に、たたまれた寝間着。
青と白のストライプが、なぜかとても“清潔な旅”って感じがする。
サンライズには何度も乗っているけど、この寝間着を使ったことは一度もない。
車内で、これを着て歩いている人を見かけたこともない。
じゃあ、みんな使ってないのか?
それとも、個室の中だけで、ひっそりと着ているのか?
そんなことをぼんやり考えながら、
寝間着には手をつけず、ブランケットを肩までかけて、
ぼくは、ゆっくりと眠りにつく。
列車の音が、少し遠くに感じた。
あのストライプの寝間着。たしかに毎回あるけど、誰かが着てるのを見たことは、ない。もしかして“幻の制服”なのかもしれない。
【早朝5時の目覚め】列車の朝、アンパンとコーヒーと静けさ
朝5時ごろ、ぼくは目を覚ました。
窓の外は、少しずつ明るくなってきていて、
夜と朝が、ちょうど入れ替わるころだった。
今回の朝ごはんは、アンパンとコーヒー。
個室にこもって、音も立てずにかじる。
列車のリズムが、朝食のBGMみたいだった。
外の景色には、ぽつりぽつりと人の姿。
最初は、早朝の散歩をしている人たち。
それが、時間とともに通勤の会社員に変わり、
しだいに、通学の学生も混じってくる。
あぁ、それぞれの人生を生きているなぁ、と思った。
ただ車窓から眺めているだけなのに、
その背中に、いくつもの物語が浮かんでくる気がした。
【瀬戸大橋を渡る】靄がかった瀬戸内と、幻想的な朝の景色
瀬戸内海が広がっていた。
今日は少し靄がかかっていて、
海も島も、すこし輪郭がぼやけていたけれど、
それがかえって幻想的だった。
瀬戸内海に靄がかかっていた。晴れてなくても、きれいなものは、きれいだった。
いかにも、っていう言葉がぴったりくる工場だった。瀬戸内の海風を、ずっと吸い込んできた建物。
いよいよ、高松に近づいていく。
4年間暮らした街。
見慣れた景色が、少しずつ近づいてくるのがうれしかった。
【高松駅に到着】寝台列車で四国へ|朝の空気がやさしかった
朝の空気は、ひんやりしていて、とても気持ちがいい。
これから、自宅へ向かう。
妻は仕事へ出かける前。まだ家にいるだろう。
アビ蔵は、いつも通り家にいる。
玄関の音を聞いたら、すぐに飛んできて、
あの“いつもの歓迎”をしてくれるに違いない。
そんな風景を想像しながら、ぼくは静かに歩き出す。
【ただいま、という景色】玄関の音に、アビ蔵が走ってきた。
久しぶりの高松の空気を吸いながら、
玄関のドアを開けるその瞬間まで、
旅は、まだつづいているような気がしていた。
アビ蔵が、どんな顔で迎えてくれるか。妻がどんな言葉をかけてくれるか。
それを思い浮かべただけで、
なんだか心の奥が、ぽっとあたたかくなった。
──旅は終わる。
でも、“帰ってきた”という実感がじんわりとしみてきて、
それもまた、旅の一部だったと思う。
また、日常がはじまる。
ぼくの、ふだんの暮らしが。
Q&A
✅代行サービス専門マッチングサイト:ラクダ
✅ラクダではアフィリエイトパートナーを募集しております。
🏠無料で空き家を掲載・検索できるマッチングサイト:空き家リスト
✨当サイト:ぬふふ.com
🏢運営会社:合同会社桔梗企画



