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ことのはじまりは、ふと思い立った朝。
ゴールデンウィーク。
にぎやかな駅、渋滞の高速、行列のできるテーマパーク。
──うーん、そうじゃない。
人ごみを避けたい気持ちと、どこかに出かけたい気持ちが、ちょうど半分ずつくらい。
そんな中で、ふと頭に浮かんだのが「栗林公園」でした。
“庭の国宝”なんて呼ばれているけど、すごさというより、“やさしさ”がありそうで。
いちばんきれいな音は、足音だった。
入り口を抜けると、すぐに空気が変わりました。
ふわっと草の匂い。遠くで子どもの声。
でも、うるさくはないんです。
砂利の上を歩く自分の足音が、
この庭では、いちばんきれいな音に思えました。
松の枝が風で揺れて、池の鯉がゆるく水を切っていく。
静かで、にぎやか。
まるで、庭が話しかけてくるみたいでした。


季節が、ちょっと急いでいるようだった。
園内は、五月初旬なのに、
もうセミの鳴き声が鳴り響いていた。
「え、今、夏だっけ?」と思いながら耳をすますと、
遠くの木のてっぺんから、確かに聞こえる。
そして、トンボもすでに飛んでいました。
羽をひらひらと光らせて、まるで秋の使者みたいに。
季節は、いつも人間の予定よりちょっと早くて、
それがまた、いいなと思ったのです。

木々は、なんだかこっちの味方だった。
「マイナスイオン」っていうと急に理科っぽくなるけど、
たぶんあれは、“空気のなかのやさしさ”みたいなものだと思った。

でも、目の前を歩いていた小学生が、わりと見事に池へ落ちた。
みなさん、どうかお気をつけて。
掬月亭と抹茶と、“入りたくなる縁側”。
池のほとりにたたずむ、掬月亭(きくげつてい)。
歴代藩主がこよなく愛したという、そのたたずまいは、
静かで、揺るがなくて、どこか、やさしい威厳をまとっていました。
中では、抹茶と和菓子がいただけるらしい。
風の通る縁側に座っている人たちの背中を見ていると、
その時間がどれだけ豊かなものか、伝わってくるようでした。
たしかに、これは、愛したくなる。
その場に入ったわけじゃないけれど、
心のどこかが、そっとそこに座っていたような──
そんな気がしました。

たぶん、ここがその場所だった。

茶屋ってすごいな。
和船にゆられる人たちを、橋の上から見ていた。
南湖をめぐる和船遊覧。
乗ることはなかったけれど、橋の上から、静かに見ていた。
船は、まるで庭そのものの一部のように、
すーっと水の上をすべっていく。
のんびりした船頭さんの声が、風にのって──
少しだけ、聞こえたような気がした。
船の上の人たちは、穏やかな顔で空を見上げていた。
次回、訪れたときには、
舟遊びで“お殿様気分”を味わってみるのも悪くないなと。
そして、この庭の中に、もう一歩ふみこみたいなと思った。

「あそこに乗ってたら、今日のことを好きになりそうだな」と思った。
吹上亭で、冷たいざるうどんを。
今日は、日差しがけっこう暑くて、
歩いたあとの体にじわっと熱がこもっていた。
そんなときに見つけたのが、園内にある「吹上亭」。
冷たいざるうどんを見た瞬間、迷いはありませんでした。
麺は太く、コシがあり、食べ応えも十分。
つけだしの香りもやさしくて、するすると胃におさまっていく。
「これはもう、正解だな」と思いました。
静かな庭のなかで、涼しさと満足が竹ざるの上にそっとのっていたような、
そんな昼ごはんでした。

太くて、つめたくて、ちゃんと美味しい。
栗林公園で見たもの、残ったもの。
特別なことは、起きませんでした。
誰かに会ったわけでもないし、
ドラマチックな場面があったわけでもない。
でもね、景色は、静かに、ちゃんとすごかった。
そして、足音、風、セミの声、トンボの軌道。
それらが、じんわりと記憶に残っていきました。
「静けさの中でにぎやか」──
この言葉が、いちばん似合う庭だったと思います。


でも、べつに教えてくれたりはしない。

木陰の風だけが、そのことを知ってそうだった。

「あ、あのときの栗林公園の池」って、きっとあとで思い出すやつだ。
- 栗林公園の入園料はいくらですか?
- 大人410円、小人(小中学生)170円です。年間パスポートなども用意されています。
- 吹上亭は誰でも利用できますか?
- はい、園内の飲食施設として一般来園者も利用できます。営業時間やメニューは季節により異なります。
- 和船に乗るには予約が必要ですか?
- 当日受付制ですが、混雑時は早めの受付をおすすめします。事前予約も可能です。料金は大人620円です。
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