Contents
――帰る場所には、ゴロゴロ音が待っている。
ぼくのEP3型シビックタイプRは、もう20年近く前の車になる。だけど、乗るたびに思い出す。あのVTECが切り替わる瞬間の“高鳴り”と、ステアリングが伝える情報量。踏み込めば、まだまだ「走れるぞ」とクルマが言ってくる。
だけど、最近ひとつだけ変わったことがある。
リアに、こんなマグネットを貼ったんだ。「家に猫がいます」――黒猫のシルエットと、黄色と黒の注意喚起。誰かに見てほしくて、というより、自分に向けて貼った気がする。

エンジンを止めて、ドアを閉めたあと。ふと後ろを見て、あのステッカーが目に入る。「家に猫がいます」――それは、アビ蔵のことだ。
その瞬間、“無事に帰ってこれてよかったな”って、しみじみ思う。VTECで走ったあとに、ゴロゴロ音が待ってる。そんな日々を、今ぼくは生きている。
アビ蔵、ただいま
アビ蔵は、ぼくが帰るとヒラヒラと玄関まで出てきてくれるときもあれば、ソファーの上でまるまって、チラッと目だけで挨拶するときもある。それでもうれしい。
「ただいま」って声をかけると、ゴロゴロとのどを鳴らす音が聞こえる。ぴょんと肩に飛び乗ってきて、顔をスリスリこすりつけてくる。それだけで、ぜんぶ報われるような気がする。

あの“ゴロゴロ”は、エンジン音じゃないのに、なぜかぼくの心を落ち着かせてくれる。
昔は、走ることが目的だった。どこまでも速く、どこまでも遠く。アクセルを踏んで、景色を後ろに置いていくのが気持ちよかった。
でも今はちがう。帰る場所があるから、走る。走ったあとに「おかえり」と言ってくれる存在がいるから、走れる。
でもね、やっぱりVTECの“鳴き”は、ぼくの中で特別だ。アクセルを踏み込んだとき、タコメーターが跳ね上がって、カムが切り替わるあの音――あれを聞くと、「まだ、好きなんだな」って思う。
アビ蔵の“ゴロゴロ”と、VTECの“バァァン”。どっちも、ぼくを笑顔にする音だ。
ぼくは、どっちも大事にしたい。走ることも、帰ることも。
Q&A
✅代行サービス専門マッチングサイト:ラクダ
✅ラクダではアフィリエイトパートナーを募集しております。
🏠無料で空き家を掲載・検索できるマッチングサイト:空き家リスト
✨当サイト:ぬふふ.com
🏢運営会社:合同会社桔梗企画